【医薬最前線】第2部 2010年の壁(2)満たされぬ領域 開発に期待(産経新聞)

 東京都目黒区で6月6日、認知症の患者や家族が100人以上集まった交流会が開かれた。同区の高橋健二さん(57)=仮名=は「認知症は治らない病気。将来、どんな症状が出るのかを知り、心の準備をすることが大切です」と参加者に語りかけた。

 高橋さんの妻(56)は6年前、認知症の一つ、若年性アルツハイマー病と診断された。最初は物忘れが多い程度だったが、徐々に悪化。家事ができなくなり、トイレットペーパーを散らかしたり、室内に水をまいたり…。今では夫のことも分からなくなった。高橋さんは勤めていた会社を辞め、アルバイトで家計を支えながら、妻の介護にあたった。

 ところが、今度は介護を手伝ってきた長女(27)が精神的に不安定になり、家に閉じこもるようになった。「このままでは家族が崩壊する…」。高橋さんは今年2月、妻を施設に入所させることを決めた。

 妻は洋裁が好きで手先も器用だった。「たった6年でこんなになっちゃうなんてね。薬がないのがこの病気の一番の問題」。高橋さんは唇をかみしめる。

 国内のアルツハイマー病患者は約130万人もいると推計されている。だが有効な治療法は確立されておらず、病気の進行を抑える薬が1種類あるだけだ。この薬が効かなければほかに選択肢はない。介護にあたる家族にとっては、同じ境遇の仲間の支えが唯一の“クスリ”なのだ。

                   ◇

 財団法人「ヒューマンサイエンス振興財団」が平成17年、60の病気について、医師を対象に「治療に対する薬剤の貢献度」と「治療の満足度」の相関関係を調査(147人回答)した。結果はアルツハイマー病の貢献度と満足度がともに10%以下ともっとも低かった。逆にいずれも90%を超えたのは消化性潰瘍(かいよう)だった。

 アルツハイマー病ははっきりとした原因が解明されていないため、根本的な治療薬の開発が困難とされる。一方の消化性潰瘍には効果的な治療薬があり、手術をしなくても治せる。

 製薬業界や医療関係者はアルツハイマー病やがんのように有効な治療方法が確立されていない領域を「アンメット・メディカル・ニーズ(満たされていない医療ニーズ)」と呼んでいる。

 鬱病(うつびょう)などの中枢神経疾患やリウマチなどの免疫疾患なども含まれる。

                   ◇

 大型品の特許切れで業績悪化が懸念される「2010年問題」。問題を乗り越えるための製薬大手が高い関心を寄せている分野が、まさに「アンメット・メディカル・ニーズ」だ。各社は飽和状態にある高血圧症などからアルツハイマー病やがんに開発の重点領域をシフトさせている。

 病気のメカニズムが完全に解明されていないなど新薬の開発が難しいアンメット領域だが、近い将来、国内市場に登場する可能性がある薬もある。

 現在、1種類しか流通していないアルツハイマー治療薬では、新たに3種が承認申請中。武田薬品工業や第一三共などが2010年問題を乗り越える“切り札”の一つとして市場投入を計画している。

 エーザイは「現代有機合成化学の最高傑作」(内藤晴夫社長)と自負する乳がん治療薬「エリブリン」が日米欧などで申請中だ。

 いずれも「根本治療薬」とはいえないまでも、従来の薬よりも高い効能も期待される。

 妻の病気に悩む高橋さんの、新薬への思いは切実だ。「妻はもう少しで『食べ物がのみ込めなくなる』と医師に言われた。いい薬が出たら試したい」

 同じ薬を使い続けると細胞が「耐性」を持ってしまう“宿命”を持つがん患者も新薬の登場に期待を込める。「卵巣がん体験者の会スマイリー」の片木美穂代表は「新薬が一つ出れば、延びる命が増える。患者にとって選択肢が増えることは希望」と話している。

三和、文化、東洋シヤッターに課徴金55億円(読売新聞)
参院選 守谷市広報早々「7月11日投開票」…見切り発車(毎日新聞)
準天頂衛星 1号機 8月2日に種子島から打ち上げへ(毎日新聞)
自賠責や被害者給付金も変更へ 顔の傷訴訟確定「男女平等…当然」 (産経新聞)
篠山紀信氏に罰金30万円略式命令 東京簡裁、青山霊園でヌード写真(産経新聞)

<鳩山首相>中国の温首相と会談 対北朝鮮で強い姿勢を要請(毎日新聞)

 鳩山由紀夫首相は31日午前、中国の温家宝首相と首相官邸で会談した。鳩山首相は韓国海軍の哨戒艦沈没事件を取り上げ、北朝鮮に強い姿勢で臨むよう中国側に要請、国連安全保障理事会への提起を目指す韓国を支持するよう改めて求める。

 鳩山首相は哨戒艦事件の対応で、国際社会が足並みをそろえて北朝鮮に対処する必要性を強調。安保理での対北朝鮮制裁に慎重な構えを続ける中国に改めて協力を要請するとみられる。

 4月に中国海軍の艦載ヘリコプターが海上自衛隊の護衛艦に近接飛行した事案が発生したことから、両首相は再発防止のための危機管理メカニズムについて意見交換する。

 日中間の懸案である東シナ海ガス田開発問題では、08年6月の日中合意を具体化するための条約締結の交渉に入れない状態が続いており、鳩山首相は温首相に前向きな対応を求める。

 一方、日中両政府は首脳会談に合わせ、中国製冷凍ギョーザ中毒事件を教訓に整備した「日中食品安全推進イニシアチブ」や、省エネ環境分野、電子商取引(Eコマース)に関する合意文書など四つに調印する。

 温首相は同日午後に衆参両院議長と会談するほか、経済人や文化人とも交流する。6月1日には天皇陛下と会見する予定。

 温首相の来日は08年12月に福岡県太宰府市で開かれた日中韓首脳会談以来。日中間での首脳の相互訪問の一環。【西岡省二】

シンドラーなど4社に計13億円請求=高校生エレベーター死亡事故で―東京都港区(時事通信)
強盗殺人未遂容疑で36歳男逮捕=コンビニで店員刺す―警視庁(時事通信)
地デジ普及へ阪神・鳥谷らがPR 甲子園球場(産経新聞)
<参院選>国民新党が公約発表(毎日新聞)
小児心臓移植、候補に6施設=7月施行前に―関連学会協議会(時事通信)

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。